臨床詩作法 / ****'04/小野 一縷
を 忘れて
空にある 大きなハープの弦は 細い光線群
あまりにも それは鋭利で
誰にも 触れられない
その音階は オーロラの揺らぎだって御伽噺
発火する赤血球が 心臓の吸気バルブへと
吸い込まれる 銀色に圧縮されて 透明に燃焼する
肺に その熱が伝わってくる 吐く息が 熱い
過剰敏感 今夜 ペン先の 転がるボールが
歪で仕方ない 真球には程遠い
書き味は悪いが 字を生々しく
罫線上に 沁み込ませてゆくには 適している
苦悩より難解な快楽 苦痛に程近い酩酊
砕け散ったガラス
それら破片の 切れ味にだけ宿る
光の素粒子を 零し続ける
まるで 太陽
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