臨床詩作法 / ****'04/小野 一縷
解る
一色じゃない
混ざり合い変化し続ける複数色だ
ただ 母音の発光は過去の色 解らないまま
冥王星に 今 正午が訪れる
銀色のセラミックの容器の中に
生れ落ちた 赤ん坊が泣いている
何かが 不吉に 爪先に冷たい
聖水は メタノールだった
バプテスマを終えて
体中の熱を揮発に連れ去られ 凍えた
拘束衣を身に着ける
ボール状の猿轡が ぬらぬらしている
この目 死の間際にある者の瞳孔に
痛々しく 黒々とした焔が 自由に燃えている
路面を濡らす ガソリン
薄い液体色 桃色 空に 透明に揺れて昇る
その時の 音を 聞いていたい
いつまでも 眠るのを
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