臨床詩作法 / ****'04/小野 一縷
 
字で 次の一字で
言葉を打ってゆけ 先へ 先へ 光の切れ味で 進行しろ
闇の中真を 尖端 限りなく零に近い点で 刺せ

この詩は 進行する 
未来が 闇の中へ 注入される 
肉の中 血管に 詩句を送り込め
静脈じゃない 動脈に 深々と次々と突き射せ
未練がましい寿命を腐らせて 言葉が吹き荒ぶ
この瞬間の 文字の震える残照が 日常に濁った眼を
黒く黒く重く 焼く 

雷轟だ 
撃たれろ 蒼白い稲妻に 刺し貫かれて
致命的に凍えろ 脊髄が凍結してゆくだろう
銀の粉と零れる 冷たい文字を吸え
手に取れ 両手で掴め 放射線を放つ原子を持つ詩句
それを 突き立てろ 胸の熱に
[次のページ]
戻る   Point(3)