臨床詩作法 / ****'04/小野 一縷
 
む景色
眼球はいつだって 濡れている それが分るだろう
ペンのインクは まだまだ干乾びない
紙の上にだけ 乾燥 言葉として 結晶しろ

筋肉繊維の振動を 血液に浮いた脳の揺れで感じろ 
骨格の揺れに 眼を閉じて酔え
軟骨の軋みを 耳を塞いで貪れ
それでも飽足りない 
詩を書く 今がその時期だ 
生み落とす快楽を 徹底してしゃぶれ 熔けるまで

湧いてくる 今が沸点 
何度も 何度も繰り返せ 今度も逃すな
視覚から聴覚へ 聴覚から触覚へ 触覚から臭覚へ
臭覚から思い出せ 次の一行を
時間を跳躍して越せる唯一の瞬間 創造
一歩先の未来を 思い出して決定しろ その一字で
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