臨床詩作法 / ****'04/小野 一縷
 

そこに広がっていくだろう 切り裂くように 甘く苦く
詩が

快楽だ
詩作は快楽装置の作動だ
操作しろ 的確に有効成分を抽出 吸収しろ
不純物は残留する 二つの眼球に沿った球形の空間に
そのままに 融け出すのを 待て
もう一度 それを蒸留しろ 涙を流して
舌の先で その苦さを ただの塩分と分離しろ

言葉という快楽物質は 何度でも沸いてくる
純度の高い 結晶したそれを 逃さず刺し止めて 
鏡の上に 綺麗に並べろ 
一行一行 詩列を吸い込んで
深々と 鋭い暗さに 冴えろ
湧かせた言葉を取り込め 循環しろ 繰り返し 幾度も
冴えてゆけ

濡れた窓 滑る水滴 歪む景
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