臨床詩作法 / ****'04/小野 一縷
 

新しい季節の訪れを 疑わず ただ信じるように

心臓が刻む鼓動が 行き着く先 
遠い 遥か遠い 大地が 揺り籠のように揺れている
懐かしい鼓動だ 暖かい 香りがする

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 同 1:48  物質A 50mg投与

短い針の雨の速射だ
濡らされた地熱は温度を急速に上げる
地面が銀色に沸騰する
蒸発する気体を逃すな
透明な靄が消える瞬間と空間の位相時差 隙間に 
視線を刺し込め 
そして 撃て 言葉を 打て
その境界線に 文字列の輝きが 揺らぐ時
耳の穴の奥 5cm進んだ場所から 垂直に8cm上
そこに収束するだろう 血液が滲み 少しずつ

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