臨床詩作法 / ****'04/小野 一縷
 
して どれくらい消費しただろう
詩 詩の為に 詩を書いている これは運動だ
詩は精神の均衡を保ってくれる ここが 
精神の振幅の 大きく広い領域 
安定 停止に似せて ゆっくりと傾斜してゆく帯域

何も支払わずに 何かを得るだなんて そんなやり方は 知らない
脳神経 内臓 各細胞 染色体が また 
ペン先に投身自殺する 血痕が文字になって 血走る瞬間
快楽は鋭い閃光となって 脳髄の奥 暗闇を刺し切る
白金の光が 散って 走り 消える
その時 発生する波紋に乗って
深く重く甘い眩暈が じっくりと 幾重にも降りて来る
目蓋に浸透して 暗く遠く緩く 波打つ
酩酊 
静かだ 
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