臨床詩作法 / ****'04/小野 一縷
湖の跡の上
灰色の古木が銀の砂と零れる 硬い 罅割れの隙間から
立ち昇る 暗く熱い土の匂
詩句と詩句を繋ぐ この段差のある経路を今 歩いている
回廊 ずっと遠く 先に 光が見える あの光は
出口だろうか 入口だろうか
ここは 罌粟の香の煙が 何処までも あの光まで 流れている回廊
かつて「軽金属の天使」と呼ばれた詩人が そう
また彼が伴う 別の「燃える頬を持つ天使」若い詩人と ずっと
想い歩いた回廊
ここは硝煙を絶えず好んだ 「小銃を携えた液体金属の天使」が ずっと
こよなく愛した
遠く 長く 重く 熱く 緩やかな 回廊
そこを 一人で行く 暗い中を 遠く針
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