結婚披露パーティーで読んだ手紙 /服部 剛
 
たいことは、言葉にならない・・・詩の仲間である僕等は、言葉にならない思いの為に、これからも詩を語るだろう・・・目に見える、文字の裏側に( 何か )がある。 

 今年の春の宵、僕は最も敬愛する作家・遠藤周作の青春の路地で、あなたに贈りものを、手渡した。その日の深夜、あなたは僕への愛を、たった一行の言葉で、打ち明けた。その日付は寄寓にも、遠藤先生の誕生日であった。鎌倉の家にあなたを初めて招いた夜、祖父の遺影をみつめていると、頭上の中空から(ひとしずく)の涙が落ちて来て、あなたの頬を伝った時、その横顔は僕にとって、世界の誰よりも美しく観えた。世の中には、確かに不思議なことがあり、親しい友の
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