演劇の有用性について/salco
い責務に尽きる。だからジャニー
ズ事務所のアイドルか、瀕死の大女優でも宙吊りしない限りは儲けが出ない。何と割に合わない商売だろうか。とても商売にならないので、宿業と言った
方がいいかも知れない。
してみれば、非日常、非存在を知るという往復を日常的に訓練し理論に則って行なっている「役者」というのは、ただの媒体ではなく、暗示の舌先三寸で
口を糊する巫女や霊媒などより遙かに有徳な社会的役割を担うと言えるわけで、その経験値は確かに素人より刻みが深いのだ。それに比べれば、今日26
億円を動かした兜町ディーラーの自画自賛が一体何だろう。また我々観客も、演劇を通して蠢動するナマモノの、躍動する異世
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