演劇の有用性について/salco
 
桟敷の流れを汲み、その演劇論を忠実に再現するこの劇団は、当然ながら
時代風潮の変遷に取り残されたように貸し劇場で年数回の公演に留まる経営状態のようだが、今回は市の協力とスポンサーも得て大規模な野外公演を挙行す
る事ができた。文化事業にはどの自治体も企業も尻込みするこの不況下、まことに慶ばしい椿事だった。とりも直さずそれは寺山修司のネームヴァリューで
あり、広大な会場を埋め尽くした観客の一人として「寺山ワールド未だ古びず」の凱歌に陶酔する一夜でもあった。
バアさん連中の認知力に媚びるだけの商業演劇や、空騒ぎにひた走る小劇団ブームには乗れなかった事情もあり、知力と暴力が臭気まで放ちながら雄叫ん
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