「檻の中の同性愛」/桐ヶ谷忍
た。
そして、私は彼女以外には「私」を前面に出す事はしなかった。
彼女だけが特別だった。
一番最初に「好き」と言われたからではなく、他の子達は私の作った
キャラクターに幻想を重ねている事を、私は知っていたから。
何より、みんなから好かれる彼女の一番が私だった事がひどく誇らしかった。
嬉しかった。可愛くてならなかった。
物心つく前から互いに互いを罵り合っていた両親。家庭では罵倒か、
子供に八つ当たりするか、緊張した無言が常となっていた。
明るい子供が育つわけがない。保育園から中学までいじめ。家庭においても
学校においても怒鳴られるか嘲笑されるか無視される環境で育
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