「檻の中の同性愛」/桐ヶ谷忍
、高校を
卒業したらこの関係も終わると私は悟っていた。
高校生時代、同性から「好き」と言われた事は二度。言われなくても私を
「好き」だと想っている子がいた事も含めれば、三人の同性から好かれた。
当時、腰まで長く伸ばしていた髪を、執拗に「梳かせて」と毎日のように
放課後遅くまで私の髪の毛を梳いていた子に彼女は嫉妬した。
その子も私を好きになってくれたひとりだった。彼女もそれを知っていた。
だから剥き出しギリギリの嫉妬をした。
嫉妬される優越感というものを、初めて知った。
「同性愛」は禁忌であるから、あからさまな対決など彼女らはしなかったし、
表面上は和やかだった。
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