殺される/森の猫
 
とうございます。」

「いえいえ、どういたしまして。ちゃんと、監視してますから。」
おじさんは、伏し目がちにぼそぼそと言った。

がちゃ がちゃ、鍵を開ける音がして。彼が来た。
意外に早い彼に、あたしは抱きつく。彼の匂い。熱い。
布団も敷くのも、もどかしくキスをし畳の上でもつれ合う。

タオルケットだけを羽織った下で、あたしは、作った夕食が冷めて
いくのを気にしていた。

なんだか、外に嫌な気配がする。あたしは、多少霊感がきく。
刃物を持って、あたしたちに襲いかかってくる男の映像が
頭に浮かんだ。鳥肌がたつ。

突然、彼の携帯が鳴る。仕事のトラブルの電話。
彼は、
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