ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
いう悪玉菌でさ、菌はね、自分の子の劣悪さを何とか矯正しようと何度も試みてたんだよ。でも、一向にO-357の素行が良くならないから、親子の縁を切って放逐しちゃったんだ。一時は首をはねることも考えたんだけど、いくら悪党とはいえ、血を分けた実の息子でしょ。そこまでするには不憫と思って、決断を渋っちゃった。そのことで菌は後に後悔するんだけど、……それはどういうことかっていうとね、勘当されたO-357がますます悪辣な振舞いをしだしたからなの。O-357はショックだったんでしょうね。そのショックで立ち直ればよかったんだけど、やっぱり生まれ持っての劣悪な性質が彼を悪の道に突き進ませちゃったんだろうね。彼も彼なり
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