ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
に髪も、目も。少し血走った目には自尊心が表れているようだった。
円形の屋根の下、僕ら二人はテラスに備え付けてあるベンチに座った。
「噴水の水が夜中でも動いてますね」
「ふふ、持って帰りたいでしょう」
「何を?」
「水をよ」
「いや、水は家にもあります」
「それはあるでしょうけど、でも私は持って帰りたいわ。だいいち不健康じゃない、私そういうのが好きなの。だって微生物とかたくさんいるでしょ? 顕微鏡があったら見れるのにな。欲しいな」
「うん、見ると楽しいでしょうね。ぴこぴこ動いてるだろうし。ゾウリムシとかミトコンドリアとか、あれ、ミトコンドリアは違うな。何だっけ?」
「知らないわ。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)