ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
感したみたいになって、なんだかおもはゆかった。(でも、それは僕の恥じることじゃなくって、彼女が恥じるべきことだ)
しばらく女でも眺めていようと思い、僕は目を開けた。さっきの女はいなくなっていた。あたりを見廻したけど、もう彼女はどこにもおらずバケツだけが残されていた。女がさっき何をつついていたのかが気になって、バケツを覗きに行ってみると、中には血まみれの亀が入っていた。ぐちゃぐちゃに潰れている。死んでからもうだいぶたっているらしく、生臭い腐臭が漂っていて、見ていると吐き気がした。
(死んでからつついたのか……でも、死んでいたとしても突付く必要はないんじゃないか。何のためにつついていたのか。それ
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