ジュリエットには甘いもの 中篇/(罧原堤)
んでしまってからもこの日の思いでは少女の心の中で大切なものだったし、父親が獲ったでめきんも少女の友達になっていたの。父親が最後に送ってくれた友達。いつまでも一緒にいたかったのよ。そんな少女の幸せに水をさした悪い奴がいた。O-357よ。あろうことか少女のでめきんに寄生してしまったんだ。でめきんはみるみる元気をなくして、あまりえさも食べようとはしなくなった。
『お母さん。大丈夫かな』って不安にかられた娘が言うとね、
『そうね。具合が悪いみたいね。でもきっと大丈夫よ……。父さんがあなたにくれたんだもん。父さんがついててくれるわよ』って母親は励ますんだ。
『そうよね』って、少女はでめきんにやさしく語
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