1型/瀬崎 虎彦
やっぱり三週間ぶりに電話をしてみる。
「なんか変な悪戯した?」
「んー、悪戯なんかしてへんよ。感謝こそされても」
にひひ、っと彩が笑っている。
「やっぱりクッキーは君か」
「だって催促してきたんそっちやろ?」
「いや、本当に忘れてたし、催促も何も」
「でも固執してたやろ?」
「固執してないって。固執してるのはそっちだって」
「うわー、ありがとうも言われへんのはあかんで」
「・・・・・・」
「大事なことやで、ありがとうは世界の始まりやで」
「世界の始まりかどうかはわからないけど、ありがとう」
気持ちがこもってないとかいって、僕は5回くらいありがとうを言わせられる。でも僕
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)