1型/瀬崎 虎彦
僕は思う。缶を左手に持ったまま彩に電話する。
「ああ、俺だけど」
「何?どうしたのー」
「え、バナナがなんとかって書いてきてたよね」
電話の向こうでガタタって音がして、僕は少し放置される
「あー、ごめんごめん。あとでかけ直すわ」
一方的に電話を切られる。あれ、なんでこっちから彩に電話かけたんだっけ?と思いながらコーラをもう一口飲む。僕はカロリーゼロのコーラを飲みながらいつも、何で甘いのかなと考えている。あれ、クッキーを作るってだけで、別に僕にくれるわけじゃないのか。なんだかずうずうしかったかな。それから洗濯物をていねいにたたみ始める。
1時間くらいして、僕が忘れた頃に電話が振動
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