healcaのお客様へ/瑠王
 
はない。
どんな舞台にも大根役者は付き物だ。
そう言って父はよく笑った。

そんな父も心臓を患い1年に及ぶ闘病の末、そのシナリオを終えた。
安らかな死に顔は、彼が最期まで大根役者を演じきった証拠だった。

この本は父が愛読していた詩集だ。
父の遺品の中から見つけ、黙って私が持ってきてしまった。
尤も、5人もいる兄弟の中で本を読むのは自分くらいのものだ。
誰も文句は言うまい。
この本が父から私へ受け継がれたのも、そういうシナリオなのだろう。
いづれは私の子へと受け継がれてゆくのかもしれない。

父の言う"シナリオ"とは不思議なものだ。
実は自分も本を
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