シェドゥムのための習作/有末
 
探してみることができた。彼は消えてしまった彼女に自分のなにかを預けて、それがもう二度とは手に入らないのだと片付けた。だからそれを望みもせず、ただ懐かしむだけで満足であった。本当はどうなっているのか知っていた。はじめからなかった。
しかしある日とつぜん妹は現れた。シェドゥムが彼女に預けたものを携えて戸口に立っていた。あまりに驚いたので彼は右手でドアノブを握ったまま不躾に彼女を上から下までじっと見分してしまったうえ、彼女にいきなり左手で目隠しをした。背中ごしにシャルロの声が聞こえなかったら、きっといつまでだってそうしたまま観察してただろう。そんな風にしながら、シェドゥムは酸素の足りない頭でぐるぐると
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