シェドゥムのための習作/有末
 
にシェドゥムはなにを求めていたのか、画家が息子とその幼馴染みを描いたあの作品を、妹を見守る兄を描いた作品なのだと確信することの意味を、彼は新たに知ろうとした。そしてきっと幼い頃にはあの子がいたからだと彼は思い出すことにした。それ以来、彼はまた再び悪夢を観ることになったが、うなされるシェドゥムをゆする手が誰から誰のものに変わったのかという点については、おかしいくらいに注意を払わなかった。本当に彼が思い出したいのは、背中ではなく手だったというのに。

シェドゥムはいもしない妹を探し続けていると思っていた。それは見つかっては困る類の探し物で、また見つかるはずもないと彼は高をくくっていたから試みに探し
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