シェドゥムのための習作/有末
えていた。それが決して少なくはない学友の夜の慰みになったことも、彼は覚えていた。そして酷くそのことに憤慨していたこと、そのせいだけではないけれどそれがきっかけで懲罰房に入れられたこと、教師から信頼を得たこと、その画が剥がされて捨てられたことなどを思い出す。その確かな記憶たちは悪夢の構成に不可欠な素材のほとんどを提供してくれていた。だからシェドゥムには二重以上の意味で悪夢だったのだ。めくってもめくっても、怖い理由が見つからない。
そして直接関係のない思い出ばかりをシェドゥムは引き当てる。たとえば少女の火葬のことだとか教師の目付きだとか。なんにせよ、そのどれもが彼には怖いものではないことが気味悪かっ
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