シェドゥムのための習作/有末
 
かがまだあの先に隠されているなら、きっと夢見は悪くなかったのだ。よってあそこにはただクローゼットルームに続く閉鎖的な廊下があるだけだ。右眉が言い聞かせるように断定すると、左目はなにかそれを手酷く否定するような事実を期待して従僕にレバーをあげさせる。右眉はそれを止めはしない。くだらないことだと肩をすくめるだけだ。唇は時勢を読むも左目を思うがゆえに沈黙を守りやがて訪れる落胆、カツ、とハエ叩きで獲物をしとめたときのような音のあとにやってくるあの慣れっこになった負荷に耐えんと緊張をする。そうして左目はただ光を深くし、右眉は気まずそうにそっと彼の相棒に並ぶ。かくしてタブローはまた気まずいバランスを保つ。いた
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