或る嘘つき女の生涯/木屋 亞万
 
な言い訳をしては聞き入れられず、スポーツ刈りにされるのだった。僕は父親がゴリラでも、自分はライオンになれると信じていた。「鳶が鷹を生む」ということわざがあるくらいだから、それぐらいの奇跡が自分に起こってもいいじゃないかと伯母と二人で熱く語り合ったものだった。
そういえば、彼女がよく煙草を吸うので、ランドセルや服に煙草のにおいがついてしまって、学校の先生に喫煙行為を疑われたことがある。ちょうど伯母が僕の髪を金色に染めてくれた次の日だったので、教室の前にわざわざ呼ばれて、みんなの前で先生にクンクンと匂いをかがれるのはどうもばつが悪かった。そのあと、父が先生からその話を聞いて、僕と伯母を叱った。その頃
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