或る嘘つき女の生涯/木屋 亞万
 
こと」と答えた。それ以来、何となく仕事については聞きづらくなったので、彼女の話をただ聞くだけという役割になることが多かった。僕は疑問に思ったことを何でも聞いてしまうので、ときどき伯母を困らせてしまうからだ。
僕が自分のことを熱く話すこともあった。僕はライオンのように金色の髪になることにずっと憧れを持っていた。伯母とその話で何度か盛り上がった記憶がある。僕がライオンについて熱弁したあとはいつも、二人でドラッグストアに行って、イメージしているライオンに一番近い金髪に染まるものを選んで髪を染めたのだった。染めるたびに父は怒ったが、伯母と僕は「もうすぐ夏休みだし」とか、「みんな染めているよ」とか適当な言
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