或る嘘つき女の生涯/木屋 亞万
を伝えて、すぐに故郷に返してくれと頼んだが、「とりあえずうちに来て荷物を置いていきや、おばあちゃんも家で待ってはるんやし」と言うので、そのまますぐにとんぼ返りというわけには行かなかった。母と母方の祖母はどうも伯母を嫌っているらしく、僕を伯母の葬儀に行かせたくないようだった。そのため、母が仕事に行った後もなかなか家から出してもらえなかった。何とか窓から抜け出して、なけなしの小遣いで電車に乗って故郷を目指したが、結局お通夜には間に合わなかった。新幹線に乗れるだけの小遣いがあれば間に合ったかもしれないと思うと、今でも悔しさがこみ上げてくる。
公民館に行くと、棺桶の前で父が線香の番をしていた。伯母の写真
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