失恋に溺れて/チアーヌ
ると、わたしは封筒を開け中身を確認した。
事務所の概要と、働く場合の条件面などが書いてあった。
内容は、良かった。
その文書を読みながら、わたしは、やっと頭の中が少しずつ動き出したような気がしていた。
その書類は、目の前に広がった、久しぶりの「社会」だった。
ゆっくりと書類を眺めていると、自分がそこで何をすべきかが、確かなビジョンとして頭に浮かんで来た。
何か、憑き物が落ちたように、わたしは感じた。
そしてわたしは再び働き始めた。
俊彦のことは、もう思い出すことも少なくなっていた。
そうして季節が過ぎ。
夏の終わりに差し掛かった。
夏の終わりは、空
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