失恋に溺れて/チアーヌ
 
であるはずだったわたしは、生まれて初めて、恋に「溺れて」しまったのだ。
 悔しいけれど、「溺れた」のは初めてのことだった。

 相手は、俊彦という、7歳年下の男の子だった。
 舞台を作る関連会社の男の子で、制作を希望していたけれど、修行中という感じで、仕事に関しては、わたしから見てもまだまだだった。
 わたしは、俊彦の会社に仕事を発注できる立場の人間だった。
 クラシックの舞台マネージメントに関して、業界でそこそこ名の知られた存在だったわたしに、妙な自分アピールをしてくる若い男というのは実のところけっこういたのだけれど、わたしはその手の男の子たちに全く興味は無かった。
 だから、年下
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