失恋に溺れて/チアーヌ
いていない、小さな2階建てアパートに住んで、わたしは毎晩、窓を開けて寝ている。
だってそのほうが気持ちいいのだもの。
夏の初め、世田谷の奥の、駅から25分も歩かなければならないアパートは家賃も安く、窓を開ければ川のせせらぎが聞こえた。隣に古いお屋敷が建っていて、そのお屋敷の庭の木々がまるで自分専用の林のようだった。
想像していた通り、やはり恋の終りはやってきた。
ある日、俊彦が出て行って、帰って来なくなってしまったのだ。
わたしはしばらく、何も無かったように過ごしていた。
これが当たり前の状態なのだと、思い込もうとしていた。
しかし。
ある晩、わたしの中の何かが
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