失恋に溺れて/チアーヌ
わたしの頭が重く、熱くなってきたのだった。
ひとことで言ったら、俊彦は仕草が素敵な男の子だった。そしてモノを言う表情も良かった。それだけかと言われたらきっとそれだけだ。
あの夜、わたしに神の啓示が降りて来た.....というのは嘘だけれど、とりあえず、理性的に考えたら全くわたしの範疇ではない男の子を、ただ単純に好きになったのは、どちらかと言えば頭でっかちだったわたしにとって、とにもかくにも生まれて初めてのことだったのかもしれない。
何度も何度も迷いながら、でも結局わたしは俊彦を誘った。俊彦のほうもまんざらではなかったようで、わたしたちは案外簡単につき合うようになってしまった。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)