あいつが捕まえにくる/涙(ルイ)
をこぼしてきます
私ももう限界でした
とうとう学校へ行けなくなってしまいました
かあさんは驚いていましたが
私はその理由を云いませんでした
云えませんでした
かあさんは自分の愚痴を他人にこぼすのは得意でも
人の悩みを聞くのは苦手な人でしたし
なにより 私が弱いところをみせようものなら
ここぞとばかりに「あの家に帰れ」と云いかねなかったからです
私は母を恐れていました
正直に云います
母の愚痴を黙って聞いていたのは
母の思いに共感したからではなく
ただ単純に 嫌われ憎まれ疎ましがられるのが怖かったからです
二十歳の誕生日になったら死のう
それまでは何食わぬ顔
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