餓鬼が嗤う/熊髭b
 
( ̄ー* ̄)た咀嚼が
ぼくらの唄

スピードをあげろ
目玉を落とせ
忘れられぬ 
忘れられぬ





窓は開け放たれ
空気は循環していることが感じられた
他人の匂い
それは香水の種ではなく
その女の生活と肉体が伴った
甘酸っぱい体臭 

記憶の端っこをとらえ損ねたのだ


「・・・記憶」

とその女の口から零れ落ちた瞬間
歴史を聞いている浮遊感に悩まされる夜がはじまった
肉欲的なその女は そのそぶりも見せずに
今日も記憶を語り 誘惑をはじめる

欠けているのは
盥ではなく水であった

暴力について ひとつの見解を得ることに成功した
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