東京タワーで彼女が泣いていた事を僕は知らない/虹村 凌
買ったのだ。罪の意識が、少しでも薄れる様に。
天国に一番近いラブホテルで四散したままの記憶が、いまだに整理出来てないでいる。それは夢だから、なのだろうか?
彼女は綺麗だった。僕が今まで抱いたどの女性よりも、綺麗だった。それは単純に体系的な話である。僕好みの体型の女性を抱いた事が無い、と言うだけの事だが、とにかく彼女は綺麗だった。
二回続けざまの、愛無きソドミーの行為の後に、僕らは実に古い作りの風呂に入り、そして眠った。不眠症であった彼女が眠れたかどうかは知らない。とにかく、僕は眠ったのだ。深夜、微かに意識が浮き上がり、隣で彼女が眠っていない事を知る。寝返りを打つと、彼女は何
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