晴れたら金の鈴/照留 セレン
 

 私はベランダの方を見て言った。
 明日は、朝から椿ちゃんと出かけることになっている。
 遊園地の新アトラクションはすごく混むらしいから、早く行って並ぶことにしたのだ。
「そうですね」
 てーちゃんはココアを飲んで笑った。
 いつもの、美味しそうな笑顔だった。

 次の日、朝は暗かった。どこから湧いて出たのか、綿ぼこりのような黒い雲がもこもこと空を覆っている。
 雨かもしれない、と思いながら出かける準備をしていると、携帯電話がぴろぴろと鳴った。メールだ。椿ちゃんからだった。
 ――あと5分くらいで、そっちに着きます。下で待ってるね。
 私は手短に返事を書いた。
 ――了解
[次のページ]
戻る   Point(1)