晴れたら金の鈴/照留 セレン
てーちゃんはすっかりココアを気に入ったらしい。嬉しそうに笑っている。
他のてるてる坊主も、子供の姿なのだろうか。
遠い昔、生け贄にされたのは、子供だったのだろうか。
「てーちゃん」
「どうしたんですか?」
「何でもないよ」
てーちゃんの頭を撫でて言う。不安げな目が私を見つめていた。
私が変なことを考えてるから、てーちゃんにまで暗い気持ちが伝わってしまったのかもしれない。
「何でもないよ」
私はもう一度そう言って、ココアを出した。
空には雲ひとつない。
私の部屋がある町の空気が綺麗ではないから、星はぽちぽちと見えているだけだ。
「明日も晴れるといいね」
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