晴れたら金の鈴/照留 セレン
る。――布団だ。布団を引きずっていた。
私は部屋の照明をつけた。人影の顔が見える。驚いた表情で、こっちを見ている。
子供だ。フード付きの、白いレインコートのような服を着ている。
自分が引きずった布団に躓いて、ぽてっとこけた。
レインコートのフードが外れて、おかっぱの頭が見える。
「えっと……拾ってくれて有難うございました」
起き上がりながら、子供はそう言った。
10歳くらいだろうか。くりっとした目の、可愛い子供だった。
でも、子供を、拾う?
私には子供を養うような経済力はない。まだ20代。彼氏はいない。橋の下の子供を拾ってくることも、孤児院から子供を引き取ることも
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