晴れたら金の鈴/照留 セレン
ともない。全く、身に覚えがない。頭の中がぐるぐるする。
私は震える声で、やっとこれだけ言った。
「君、どこの子?」
「あっちにいたの」
子供はベランダを指さした。
よく見ると、今朝拾って物干し竿に吊しておいたてるてる坊主が、紐ごと無くなっている。
私は質問を変えた。何てことだ。でも、
「君、てるてる坊主?」
頭大丈夫? と聞かれてもおかしくない質問だったが、子供はしっかりうなずいた。
てるてる坊主、というのもあんまりなので、「てーちゃん」と呼ぶことにした。
てーちゃんは女の子だった。
坊主なのに女の子。不思議に思ったが、てるてる坊主は元々ほうきを持っ
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