夫婦極道/salco
 
うて宿へ帰れぬのだと旅の男。

まあ、そのお家なら知っています
 
 軋る梯子段を騙し騙しで誘うたせんべい蒲団で、お前のように可憐な女
は見たことがないと男は云い、母はをんなにされました。
たがの外れた女郎より、ズロースもまばゆき乙女の安上がり。紅い花まで
散らして見せた不思議な勘定の釣り銭で、一杯やろうと踏む父でした。



 さらわれた先の座敷で地獄の祝言一場の始まり。逃げ損じ、今まさに気
絶に沈まんとする若造に、

ひとの娘を瑕物にしやがったからには魂(たま)で払うか玉で返すか、どの道こい
つは無縁と思え

 先立った小指を返して祖父は云うたそう。その
[次のページ]
戻る   Point(4)