研ぎ澄まされた湖のために/錯春
 
折り紙細工のような段々腹が盛大に破けた
(私は、きっともう来ない)
    旅人の唇が割れ
    鼻腔が繋がり
    いたる所に水掻きが現れ
    臍(ほぞ)から鎖が流れ出し
    やがて蝋細工のオタマジャクシに成り果てた
……蟷螂に寄生し、水辺へと差し向けるのは、ハリガネムシだったろうか……?
    破けた隙間から、髪の毛ほどのナイフが零れた
    ナイフは私の研ぎ澄まされた湖を打った
    燃える羽根を振り、湖から飛び立つ梟(ふくろう)達
    棗(なつめ)色の嘴が宙に舞う

  そして湖は炎上する。}



そこに溜まってい
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