窓際?/はるな
話をした。すこしだけ。もちろん、なんでもないことのように。
かつてわたしたちは窓際にいて、そのときせかいは窓のそとにあった。わたしたちの窓は三階にあって、そこから外に出ることはできなかった。わたしたちは窓際に閉じ込められたまま、遠くを望んだ。そしてそののちに、べつべつの、各自の、「灰色の部屋」へもぐりこんだ。
わたしたちが、各々の「灰色の部屋」に、窓を取り付けられたのは、幸運なことだったのかもしれない。でもわたしたちはたぶん、まだそこから出ることができずにいる。そんなことが自分でわかるなんて、「遠く」まできたよねえと口にすることもできる。
次の段階では、わたしたちにはドアーが必要になる。自分
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