窓際?/はるな
 
自分の手でとりつけるにしても、誰かの手によってつくられるとしても。
そしてたとえばそれがクリアされたときには、またべつの段階が訪れる。
いつだってシステムを探り当てているだけなのかもしれない。その段階にみあったシステムを手に入れて、操縦できたとおもった瞬間に、物事はまた別の段階へ連れ去られる。そしてそこでまた新しいシステムを探す。

窓際のこちらがわには、窓枠と、わたしと、彼女がいた。
窓の向こう側には、「遠く」がちらばっていた。
わたしはどうやってそこをでたのだろう。そこを出たかったという気持ちも遠すぎて思い出せない。
わたしは違う窓のまえに立っていて、その窓の向こうがわにはあいかわらず「遠く」だけがある。せかいはいつまでたってもわたしから遠いのだ。そして、あらゆるわたし自身も、わたしから遠く隔たって、気づいた時には現在と、窓枠だけが、ちかくにある。


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