窓際/はるな
んとなく居場所はなかった。わたしたちは、でも、うすうす知っていた。拒絶されているのは自分たちのほうではなくて、自分たちが、自分のいる場所をいつも拒絶していたことを。だからどこにいても、そこではない場所をいつも求めていたし、求めているような場所が見つかることも期待していなかった。そしていつも窓際にいた。吸い寄せられるように。
十分間の休みで、窓の外をながめて、すこししゃべった。窓からは、移動教室を急ぐ生徒たちのシャツやブレザーが見えた。わたしたちの教室は三階にあったので、人々の頭はとてもちいさくみえた。その頭のなかに、ひとつひとつ別の思想があって、理想があって、願望があって、絶望があるのだと考える
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)