嘘は命の/真島正人
し
僕を濡らし
そして君のその機械も
濡らす
君は言葉の
雨の重力に
痛いと感じたことはあるか?
それが痛かった頃から
僕は遠くはなれ
もう今は
トーストの上に塗り手繰って
食べる毎日だ
この雨の
痛さのほうが
よほど痛い
色を変え
表情を
隠していく路地が
いつもよりも難解な
立体物として
やっと複雑さを
取り戻したように
見え
数年ぶりのこの視覚に
僕は悦びを感じ
少し若い友人の肩を叩いた
言葉は
嘘も
本当も含め
命とは
かかわりのないところで
軽やかなどではない
舞を舞い
言葉は
蝶々の
羽のような
形容詞を
一
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