嘘は命の/真島正人
でこぼこの階段を上がる
背中に
ギター
ベースなど
電気の力で
音を出す
機械を背負い
足取りの
ふらつきに比べ
その重さはどこかへ
飛んで消えてしまっている
「重くないのか」
「重いと思わない」
あぁ
やはりそうか
それは重くないのか
ひとしきり
うなずくと
先ほどの
裁断化され
意味の棺を
もう放棄していた言葉が
現実の滴りとして
舞い戻り
中崎町には
夜の雨が降りしきっていた
友人よ
傘を出せ
傘を
傘を早く出すんだ
この雨は
言葉の雨ではないぞ
言葉の雨ではなく
物質としての
原罪を持つので
具体的に
君を濡らし
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