マテバ、ウチヌカレル/虹村 凌
 
らこみ上げてきそうな想像を強いられる。自分の想像力を恨みながら、僕は静かに、意識を暗い部屋の中に溶かして行った。黒い想像を、常夜灯で希釈するように。






 明るく盛り上がる部屋とは対照的に、僕の心は重く沈んだままだった。膨れ上がった好奇心の分、それが破裂したあとの残骸は、カラスがあさった生ゴミよりも酷い有様であった。ギリギリの愛想を振りまいて、外面を取り繕いながら、無様に笑う。
 森島はしきりに携帯を開いては、彼女との連絡を取り合っている。吐き気に耐えきれず、僕は便所に駆け込んだ。ドアを閉じた部屋の中から、誰かが歌う声が聞こえる。長い廊下に様々な音が反響し、不気味な不協
[次のページ]
戻る   Point(0)