マテバ、ウチヌカレル/虹村 凌
 
必要としないでいたかったのだ。永遠なんかじゃなく、世界になりたかったのだ。
 夢に現れたあいつは病院のベッドの上にいて、腕にいくつかの管を通していた。僕は、昏睡していると思われるあいつの手を握り締めて、早く治癒するように、何なら僕が代わりになっても構わない…と呟きながら震えていた。あいつはニヤリと笑って起き上がり「ふぅん、私の事、そんなに好きなんだ?」と言ってベッドからするりと滑り落ちる様にどこかへ行ってしまった。僕はフォローしようとメールを打ち始めた。何故だかは分からないけど、手段がそれしか思いつかなかったらしい。「世界で一番美しい君へ」と打ったつもりが、変換候補のミスで「世界で一番鬱陶しい
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