【句評】 √/石畑由紀子/古月
いってどうなるものでもなかったので、これは忘れることにした。
この句を読んでいて面白いなと思ったのは、ルートという数学記号それ自体に、不思議なセンチメンタルさを感じたことだ。この無機質な記号に宿る感傷は、いったいどこに由来するのだろう。とても興味深い。
あたりまえだが、人間の心は数学のようにはいかない。問いから導かれる解はひとつではないし、決まった解法もない。だが、この数学的・論理的な思考というものは、セルフコントロールにおいては有効な手段である。そうした気丈であろうとする心の微細な動きすらも、この句からは伝わってくるようである。
ここではあえて二つの句を「空」という共通点で結び
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