【句評】 桃破壊する少女/ふるる/古月
 
のことだと信じて受け容れるしかないのである。
この句は、マスコミュニケーションの巨大さに思わず陰謀論を打ち上げたくなるような句でもあり、前述の「恐怖新聞」のように、なにか得体の知れない巨大な意思の存在を世間の背後に見る句でもあるのだ。
風刺という点での凡庸さが足を引っ張る憾みはあるものの、句の構成や佇まいには惹かれるものがある。覆いかぶさるような「巨きな影」と、こじんまりとした「手渡す」のコントラストが面白い。


 白い鍵盤 桃破壊する少女

白い鍵盤、のあとの空白「 」に、一瞬の脳髄の空白とでも言うべきものがある。それは白い鍵盤の白さでもあり、桃のような柔らかに熟れた心の裡の、真
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